に行って来ましたよ。
2009から続いた道内各地で巡回していた「北海道シリーズ」のラストです。
先日の雪まつり大雪最終夜の日中に行きましたが、思えばこの時間からすでに吹雪でした。
薄暗いのは吹雪いてるからですよ…ブラジルからご閲覧のお客さま。
この芸術の森はちょっとした山の麓というか一部にあるので、雪が多い美術館なのです。
おじさんがせっせと除雪した後からまたワサワサと積もっていくという負の無限ループ…
北海道民は毎冬、雪との戦いなのですよエジプトからご閲覧のお客さま。
「ほんとにこの雪が無くなる日は来るんだろうか…」と毎年思いますが
不思議にちゃんと4月には徐々に融けていくもんです。
モスクワからご閲覧のお客様にはお分かりだと思いますが。
外は大雪でも中は何事も無かったかのような静謐さ (入口までは撮影OKだそうです)
いよいよ<最終章>になりました北海道シリーズ。
会場内には近年のデジタル撮影のカラープリントと1978に3ヶ月の滞在期間に撮影した
アレ・ブレ・ボケ・斜め切りのTHE DAIDO MORIYAMA なモノクロプリントがずずずぃ〜っと。
総数350点も展示!
2009からの展示分も入っているので見たことのある写真も多いですが 広い会場内に
カラーの大〜伸ばしプリントがずらーっと並んでいるのは圧巻です。
にぎやかなパルコ展で見るより落ち着いて見られるからいいなぁ
しかしこれ、いかついプロ使用の一眼レフで撮ったものではないんですよ!
さすがに近くで見るとドットが視えますが、巨大なプリントなので離れて見ますし
昔からの作風を考えればまったく問題無しです。
何年も前に、横浜美術館で行われた中平卓馬展で挨拶されていた森山さんは渋〜いお方でした。
写真は不変な大道ワールドですが、やっぱりモノクロで撮った30数年前の写真の方が
とんがってるなぁ〜と。あ、別に昔崇拝者ではありませんよ。
当時の森山さんの「落ちてる」精神状態が写真から伝わってきます。
なんだか必死に、追いつめられながら撮ってる感じがしました。
1972以降、写真を撮れないという長いスランプに突入した森山さんが
かつて北海道開拓の記録を撮っていた写真師・田本研三さんの写真から思いを馳せた北海道へ。
『写真を撮る日々をとり戻す』ための北海道撮影だったようです。
心のバランスが不安定になるほどに、真摯に写真と対峙してたってことなのでしょうか。
…そんな経験はありませんから、あくまで想像ですが。
その後何故かこの写真達は長い年月、日の目を見ずにフィルムのまま封印?放置?されます。
フォトグラファー・写真家たちのなかでも
(精神的に)撮れなくなる→撮らない日々が延々と続く(時間や何かのきっかけで復活)
( 〃 ) 〃 →無理矢理に撮り続けて持ち直す(気づかぬフリともいう)
のタイプがいるようです。
作品創作の写真家とは土俵がまったく違う話ですが
我々、商業写真の人間は確実に後者でなければ食べていけません…撮ってなんぼのお仕事ですから。
現在、多方面のメディアで活躍されているフォトグラファーたちも
商業ベースに乗った創作活動が多いでしょうから、やはり後者でなければ色々難しいでしょうねぇ。
今の森山さんもそうなのかもしれません。
三十数年前の高度成長期の札幌はどうだったか知りませんが
現在の札幌なんかとくに、街並、文化、人の流れ、音も匂いもパッとしない地方都市で…
森山大道が本意で激写したくなるほどの面白味があるとはどうも思えませんし。。。
とりたてて惹かれるモノは無いが、何か見つけて撮らねばならぬ…という気配が写真から。
ただ、写真一枚一枚に写っている景色がどう、というより
かつてスランプだった時代の自分と悶々と向き合った土地を今の森山大道が撮る、
という事がとても重要で、その長〜い時を経た今昔の写真行為全体が
ひとつの「北海道シリーズ」という作品なのでは。
と、勝手に想像。
違ってたらすみません〜
最後に会場内で流れていた撮影のドキュメンタリー映像&写真を見てたら
なんと、近所の商店街での撮影風景が出てきて喜んでたら
さらになんと、元アシE君の母上のお店のあんどんがドアップに!!
思わず立ち上がりそうになり、ひとりで笑いをこらえつつ悶絶してました。
これ、母上のお顔にご自身でコントみたいな落書きをしてあるオモロいあんどんなのですよ〜
それがDAIDO MORIYAMAの目に留まったとは・・・!!
あの渋〜い真顔で激写なさったのかと思うと!
すごいよ〜ほんと。
いつまでも若造たちなんぞ足元にも及ばないGODな現役であり続けてほしい。